会話
ハイブリッドカー
上海。森家では、先月日本製のハイブリッドカーを購入したばかり。ある日曜日。森健太郎は取り引き先の支社長である鈴木とゴルフに出かける。早速、新車に乗って鈴木を迎えに行くと…。
(マンションの前で、森の到着を待っていた鈴木。車に乗り込んできて)
鈴木:森さん、おはようございます。すみませんねえ、迎えに来ていただいて。
健太郎:いいえ。ちょうど通り道ですし、気にしないでください。
鈴木:森さん、これ新車でしょう?いいですねえ。
健太郎:いやあ、やっと買ったんですよ。こっちに来てから、車買おうか、ずっと迷ってたんですけど…。
鈴木:そうですか。運転は?怖くないですか。
健太郎:初めは怖かったですね。中国は右側通行でしょう。日本と反対だから、感覚をつかむまで大変でした。
鈴木:なるほど。奥さんは?運転されるんですか。
健太郎:いやあ、免許は持ってるんですけどね。怖くてとても運転できないって言ってますよ。
鈴木:そうですよねえ。
(しばらくして)
鈴木:この車って、ハイブリッドですよね。それにしても静かだなあ。エンジンがかかってるなんて信じられない。
健太郎:そうでしょう。わたしも初めびっくりしました。
鈴木:ハイブリッドって、電気とガソリンの両方を使って走ってるんでしょう。
健太郎:ええ。最近は、電気だけで走る車も増えてるみたいですけどね。
鈴木:そう言えば、この間、北京に行ったんですけどね、その時に乗ったパスが電気自動車でしたよ。
健太郎:そうですか。中国でも電気自動車は注目されてるんですね。
鈴木:ええ。環境問題は、社会全体で取り組んでいかなきゃいけない大きな問題
ですからね。
新出語彙1
ハイブリッドカー [名] 双动力汽车
のりこむ(乗り込む) [动1自] 坐进、乘坐;开进
とおりみち(通り道) [名] 顺路、经过的道路;通道
つうこう(通行) [名·サ变自] 通行、通过
ハイブリッド [名] 双动力
でんきじどうしゃ(電気自動車) [名] 电动汽车
課文
次世代送電網と再生可能エネルギー
ある日、大都市で突然停電が起こったとする。信号が機能しない。地下鉄や電車などの交通機関を利用しようにもできない。水道が止まり、オフィスや家庭では空調設備を使うことができない。都市全体がパニックに陥り、生活も産業も成り立たなくなってしまう。
現在、世界の電力消費量は増え続けており、電力の確保は各国で大きな課題となっている。地球環境に配慮しながらも、電気を安全に無駄なく供給することが求められる今、注目されているのが「次世代送電網(スマートグリッド)」、そして「再生可能エネルギー」である。
これまで発電所で作られた電気は、送電線を通って、各家庭や工場などに送られるだけだった。一方通行で、一度送ったら送ったきりという単純極まりないシステムだ。これに対し、次世代送電網とは、ひと言で言えば、IT(情報技術)を活用し、時間的に、または空間的に、電気を余っている所から足りない所へ融通して電気の無駄を抑える送電システムである。
次世代送電網はさまざまな技術が組み合わせられて実現するものである。家庭や工場には、次世代電力計(スマートグリッド)が設置され、電力使用量のデータが記録される。使用量はネットワークを通じて電力会社に伝えられ、そのデータをもとに、コンビュータが電力の使用量と供給量のバランスを制御する。さらに、超電導送電線によって、これまで電気抵抗のために送電の途中で失われていた電気の損失をほぼゼロにすることができる。また、工場や各家庭に高性能蓄電池を設置したり、電気自動車の電池を活用したりすることで、余った電気をためておくことも可能だ。ためた電気は電力需要が多い時間帯に使用することができる。
電気の使用量は、1日のうちでも、また1年の間でも、大きく変動するが、現在の主要な発電方式である火力や水力や原子力では、細かい出力の調整は難しい。さらに、現在の送配電設備は、冷房の使用が多い真夏の昼間など、電力需要がピークに達した時にもパンクすることのないように、かなりの余裕を持って作られている。だから、発電所建設のコストも膨大になるし、夜間など、電力需要の少ない時には、電気が余ってしまうことになる。次世代送電網により電力需要に合わせて発電量を自動的に調節することで、このような無駄を省くことができる。
一方、太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、環境への負荷が小さく、自然の営みから半永久的に得られる未来のエネルギーとして期待されている。反面、自然のエネルギーを利用した発電方法の大きな欠点は、発電量が地形や天候に大きく左右されるということである。次世代送電網でこのような変動を吸収することができれば、これらのエネルギーの導入をより積極的に促進することができる。
世界各国は今、次世代送電網の整備、そして再生可能エネルギーの利用に向けて動きつつある。日本の場合、石油や石炭などの燃料資源をほとんど輸入に頼っているという問題があることから次世代送電網は主として再生可能エネルギーの使用を促進するためのインフラとして位置づけられている。他方、急速な経済発展に伴い電力需要が急増する中国では、国を挙げて再生可能エネルギーの開発を行っている。先行しているのは発電コストの安い風力発電だが、大規模な太陽光発電プラントの建設計画もあり、送電には次世代送電網の技術が用いられるといわれている。
特に太陽電池生産において、2008年、世界第1位の中国、第2位のヨーロッパについで、日本は第3位のシェアを占めている。日中両国には、次世代送電網や再生可能エネルギー活用の技術開発の分野において、主導的な役割を果たすことが望まれている。
新出語彙2
じせだいそうでんもう(次世代送電網)[名] 下一代输电网
さいせいかのうエネルギー(再生可能~) [名] 可再生能源
くうちょう(空調) [名] 空调
パニック[名] 恐慌
陥る(陥る) [动1自] 陷入;掉入
きょうきゅうする(供給~) [名·サ变他] 供给,提供
スマートグリツド [名] 高性能电网
そうでんせん(送電線) [名] 电缆,电线
いっぽうつうこう(一方通行) [名] 单向通行
きわまりない(極まりない) [形1] 极其,再也没有
じょうほうぎじゅつ(情報技術) [名] 信息技术
かつようする(活用~) [名·サ变他] 有效利用,实际应用
くうかん(空間) [名] 空间
ゆうずうする(融通)[名] 调配,通融;随机应变;畅通
そうでん(送電) [名·サ变自他] 输电,送电
くみあわす(組み合わす)[动1他] 配合,编组
じせだいでんりょくけい(次世代電力計)[名] 下一代电表
スマートメーター[名] 智能电表
ネットワーク[名] 网络
ちょうでんどうそうでんせん(超電導送電線)[名] 超导电缆
ていこう(抵抗)[名·サ变自] 阻力,电阻;抵抗,反抗
ゼロ[名] 零
こうせいのうちくでんち(高性能蓄電池) [名] 高性能蓄电池
ほうしき(方式)[名] 方式
すいりょく(水力) [名] 水力
そうはいでん(送配電) [名] 输配电
まなつ(真夏) [名] 盛夏,炎夏
ピーク [名] 顶峰,峰值
パンクする [名·サ变自] 超过负载量而无法正常运作,停止工作;(轮胎)爆胎
よゆう(余裕) [名] 余地,富余
じどうてき(自動的)[形2] 自动的
はぶく(省く)[动1他] 减少,节省;省略
たいようこう(太陽光) [名] 太阳光
いとなみ(営み) [名] 活动,运行
はんえいきゅうてき(半永久的)[形2] 半永久性的
はんめん(反面) [副] 另一方面
さゆうする(左右~) [名·サ变他] 影响,左右
そくしんする(そくしん~) [名·サ变他] 推动,促进
インフラ [名] 基础设施
いちづける(位置づける) [动2他] 定位,确定
たほう(他方) [副] 另一方面,面
きゅうぞうする(急増~) [名·サ变自] 激增,急剧增加
せんこうする(先行~) [名·サ变自] 走在前面,优先实行,先行实施
ブランド [名] 工厂(设备)
たいようでんち(太陽電池) [名] 太阳能电池
つぐ [动1自] 接着,接……之后
シェア [名] 市场占有率,份额
しゅどうてき(主導的) [形2] 主导的,主动地
くにをあげる(国を挙げる) 举国,全国
解説1
1.课文特点 [说明文]
本课是一篇说明文(高级第1课)。
——地下鉄や電車などの交通機関を利用しようにもできない。
2.~(よ)うにも~ない
“动词意志形+にも+动词可能形式的ない形”意思是“尽管必要却无法办到”“想做却做不到”。
△財布を落としたので、帰ろうにも帰れない。
(因为丢失了钱包,想回家也回不了。)
△インターネットで調べようにもコンビュータが壊れていて使えない。
(我到是也想上网査呢,但电脑坏了用不成。)
——一度送ったら送ったきりという単純極まりないシステムだ。
3.~たきり
“动词た形十きり”意思是“在实施前一动作、行为以后,没有实施下一歩的相应行为或动作”。课文中的“送ったきり”意思是“输送出去以后,不实施确认情况等行为”。
△彼は「いいよ」と言ったきり、黙ってしまった。
(他只说了声“行”,就再也不说话了。)
△探検隊は「すぐ戻る」と言って出ていったきり、二度と戻らなかった。
(探险队说“马上就回来”,但一出去就再也没回来。)
4.——極まりない [书面语]
“~極まりない”的意思是“极为……”。“極まりない”一般前接名词或二类形容词。用于特別有意外性的词语,多表示不好的意思。但是,有时也用于与价值高低无关的场合,本课中就是这种用法。多与“~なんて”“~とは”等搭配使用。
△彼女の行動は不自然なこと極まりない。(她的行为极不自然。)
△恩師に対して「ばか」と言うとは無礼極まりない。
(对恩师说“笨蛋”,无礼之极。)
△泳いで対馬(つしま)海峡を横断するなんて危険極まりない。
(要游泳横渡对马海峡,那太危险了。)
使用“~極まる”的形式,前接二类形容词,也表示“无以复加……”“无比……”等意思。这时“~極まる~”“~極まりない~”表示同样的意思。
△その学生の失礼極まる発言に、教授は我慢できなかった。
(对于那名学生极其失礼的发言,教授忍无可忍了。)
相关的表达方式还有“~といったらない”“~といったらありはしない”,但是多用于前接一类形容词,并主要用于口语。
△首相の発言はおかしいといったらない。テレビで「政府の政策を国民が理解していない」と言っていた。
(首相的发言荒唐之极。居然在电视上声称“国民没有理解政府的政策”。)
△いつも同じ議論を繰り返している。ばかばかしいといったらありはしない。
(总是反复同样的争论,实在太无聊了。)
——超電導送電線によって、これまで電気抵抗のために送電の途中で失われていた電気の損失をほぼゼロにすることができる。
5.~途中で
“途中”表示移动的出发点与目的地之间的场所及开始与结束之间的时间点或时间段。以“名词+の+途中で”“动词基本形+途中で”的形式,表示某行为正在进行期向发生了别的行为。课文中的“送電の途中で”即表示“送電”这一行为持续进行的中间。此外,常用的还有“途中の駅(中途端)”,意思是从起点向目的地移动中间的车站。
△地震が発生したため、番組の途中で緊急地震速報に切り替わった。
(由于发生了地震,在节目中途切换成了紧急地震速报。)
△学校から帰る途中で大きな犬に吠えられた。
(在放学回家的路上一条大狗冲着我叫。)
△早く着きたいなら、途中の駅で急行に乗り換えたほうがいい。
(如果想早点到达,最好在中途换乘快车。)
解説2
——電気の使用量は、1日のうちでも、また1年の間でも、大きく変動するが、現在の主要な発電方式である火力や水力や原子力では、細かい出力の調整は難しい。
6.“うち”和“間”
一般而言,“間”表示时间段,可以跟“~から~まで”一起使用,而“うち”不可以。
△今日の午後2時から4時までの間は事務所にいます。
(今天下午2点到4点之间我会在单位。)
×今日の午後2時から4時までのうちは事務所にいます。
“うち”在表示“赶在某种变化发生之前”的意思时不能用“間”替换。
△この料理は熱いうちに食べてください。(这个菜趁热吃吧。)
×この料理は熱い間に食べてください。
△暗くならないうちに帰って来なさい。(在天黑之前赶回来!)
×暗くならない間に帰って来なさい。
有时也会出现“うち”和“間”均可使用的情形,如果用“間”,则表示从开始到结束的整个期间,而“うち”则只把开始或结束的那一时刻作为着眼点,若着眼点放在开始,则结束部分不出现在说话人的视野,反之,如果着眼点放在结束,则开始部分对说话人而言无关紧要。
△テレビを見ている間に眠ってしまった。
(看电视中途睡过去了。)(醒了还接着看)
△テレビを見ているうちに眠ってしまった。
(看着看着电视,睡过去了。)(可能睡到天亮)
△夏休みの間に、この仕事を仕上げなければならない。
(这个活儿必须在暑假期间完成。)(只要在暑假期间,什么时候都可以)
△夏休みのうちに、この仕事を仕上げなければならない。
(这个活儿必须在暑假结束前完成。)(暑假结束为期限)
课文中的例子可以说成“1日の間でも、また1年の間でも”,但如说成“1日のうちでも、また1年のうちでも”,则会有些不自然。
——太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、環境への負荷が小さく、自然の営みから半永久的に得られる未来のエネルギーとして期待されている。自然のエネルギーを利用した発電方法の大きな欠点は、発電量が地形や天候に大きく左右されるということである。
——次世代送電網は、主として再生可能エネルギーの使用を促進するためのインフラとして位置づけられている。他方、急速な経済発展に伴い電力需要が急増する中国では、国を挙げて再生可能エネルギーの開発を行っている。
7.“反面~”和“他方、~”
“反面”是表示“同一事物存在不同的两个方面”的连词,主要用于陈述事物性质的环境。“反面”除了能够在句子当中用于连接下文,还可以用于句首。用于句子当中时,使用“小句(简体形)+反面”的形式。
△この町は静かで自然が豊かである。反面、坂道が多いので、老人にとって外出するのは大変である。
(这个镇子很幽静,而且自然环境优越。然而由于坡道很多,对老年人来说出行有点不便。)
△卓球は、エネルギー消費量は相对的に少ない反面、年を取ってもできるという利点がある。
(打兵乓球的体能消耗相对较小,反过来看,其好处上是年纪大了也能打得动。)
类似的表达方式还有“他方”。采用“一方~,他方~”的形式,是对照两方面情况时使用的连词,多数情况下前后主语不同。有时也单用“他方”。
△1970年当時、一方で経済的には豊かになりましたが、他方で公害問題が深刻化しました。
(1970年那时候,一方面经济繁荣起来了,另一方面公害问题变得非常严重。)
△彼は水泳部に入りました。他方、彼女はスキー部に入りました。
(他参加了游泳队。而她参加了滑雪队。)
叙述主语相同的某个方面时,有时也用“また一方”。
△彼は水泳部に入りました。また一方、彼は将棋部でも活躍しました。
(他参加了游泳队。而同时他还活跃在日本象棋队。)
——世界各国は今、次世代送電網の整備、そして再生可能エネルギーの利用に向けて動きつつある。
8.~に向けて
“向ける”的意思是“面对某个方向或对象”,有时以“~に向けて”的形式表示“朝着……方向”“以……为对象或自称”。
△この研究所では、10年前から宇宙に向けて信号を発信しているが、まだ応答はない。(方向)
(这个研究所10年前就向宇宙发出了信号,但目前还没有收到回信。)
△首相は、国民に向けて消費税アップの必要性を説明した。(对象)
(首相对国民说明了提高消费税的必要性。)
△次回のオリンピックに向けて、日本代表の選考会が行われている。(目标)
(针对下届奥运会,正在举行日本国家队选手的选拔赛。)
相关的表达方式还有“~に向かって”,意思是“朝着……目标”,表示动作的方向或对象。
△上りの新幹線は東京駅に向かって進む。(方向)
(上行的新干线列车朝着东京车站行进。)
△卒業式では、在校生代表が卒業生に向かって送辞を述べる。(对象)
(在毕业典礼上,在校生代表向毕业生致送别词。)
“~に向けて”是“~に向かって”的书面语形式,表示方向或对象时两者可以互换,但表示目标时“~に向けて”不能替换为“~に向かって”。
——次世代送電網は、主として再生可能エネルギーの使用を促進するためのインフラとして位置づけられている。
9.~を~として位置づける
“として”表示定位(中级第3课),使用“AをBとして位置づける”的形式,表示“把A作为B,给予一定的评价”。像课文中“~は~として位置づけられる”这样采用被动形式的用法较为多见。
△日本は、外務省を外交の窓口として位置づけている。
(日本把外务省定位为外交窗口。)
△大臣も公務員として位置づけられている。(日本的大臣也属于公务员。)
——急速な経済発展に伴い電力需要が急増する中国では、国を挙げて再生可能エネルギーの開発を行っている。
10.~に伴い
“~に伴い”与“~に伴って”(中级第19课)相同表示“由于一方面的变化,另一方面也发生变化”。使用“名词+に伴い”或“动词基本形+に伴い”的形式。前接动词有时还使用“动词基本形+の+に伴い”的形式。
△道路工事の実施に伴い、明日から3日間、この道路は通行止めになります。
(随着道路施工,从明天起的3天时间,这条道路将禁止通行。)
△日本語学習者が増加するに伴い、日本語学校の数も年々増えてきている。
(随着学习日语学生的增加,日语学校的数量也逐年增多。)
△マンションを購入するのに伴い、冷蔵庫を買い換えた。
(买公寓楼的同时,新买了冰箱。)
——特に太陽電池生産において、2008年、世界第1位の中国、第2位のヨーロッパについで、日本は第3位のシェアを占めている。
11.~についで
“つぐ”意思是“紧随其后”“紧接着”,多以“~についで”“~につぐ”的形式表达顺序。
△日本で、富士山についで高い山はどこですか。
(在日本,仅次于富士山的高山是哪座山?)
△前回のアジア大会で、日本は、中国とインドについで3番目に多くのメダルを獲得した。
(在上次亚运会上,日本获得的奖牌数仅次于中国和印度,居第三位。)
△わたしの会社では専務は社長につぐ重要なポストだ。
(在我们公司,专务是仅次于社长的重要职位。)